日本では「うま味調味料」の代名詞になっている“味の素”。
誰もが知っている馴染みの深いものですが、アメリカでは販売禁止になっていたのをご存じでしょうか。
味の素は、グルタミン酸ナトリウムといううま味成分でできていますが、その安全性についての議論がありました。
アメリカで問題提起されたこのグルタミン酸ナトリウムについては、世界に波紋が広がり禁止国がありましたが、その後、安全性が認められています。
ではなぜそこまでアメリカで味の素が問題になったのでしょうか。
その理由と現在の状況について調べたことをシェアしたいと思います。
なぜ味の素が米国で販売禁止になったのか
味の素の成分
味の素は「グルタミン酸ナトリウム」といううま味成分でできています。
グルタミン酸は昆布などの海藻、トマト、白菜、チーズなど様々な食品に含まれていて、うま味の元になるものです。
味の素のグルタミン酸は、さとうきびの糖蜜や芋類の糖を発酵させて作っています。
グルタミン酸ナトリウムは、お料理で使いやすくするため、水に溶けにくいグルタミン酸にナトリウムを結びつけたものです。
チャイニーズ・レストラン・シンドローム
1960年代、中華料理を食べた人が、頭痛・顔面紅潮・発汗・動悸・頸部や腕の痺れといった一過性の症状を訴えるということがありました。
このような症状が、中華料理によく使われるグルタミン酸ナトリウムに対する反応と考えられたのです。
アメリカの中華料理店で食事をした人が、食後にこのような症状を呈したことから、チャイニーズ・レストラン・シンドロームとして名付けられ、健康被害として取り上げられるようになりました。
このように味の素の成分であるグルタミン酸ナトリウムが身体への被害を及ぼすとされ、味の素が敬遠されるようになりました。
グルタミン酸ナトリウムの安全性
グルタミン酸ナトリウムの研究が進められ、1987年には安全性について問題はないと認められました。
ですが、アメリカでは、身体に悪いという風評が定着し、「NO MSG(グルタミン酸ナトリウム)」とスーパーなどで掲げられるほど誤解され続けてきました。
味の素の禁止国はどこ?
またアメリカだけでなく、カナダや北ヨーロッパでもその安全性についての波紋が広がりました。
これは食品添加物の弊害が注目されていた時期で、味の素だけでなく化学調味料全般がよくないものと考えられてしまったことも背景にあるようです。
現在でも味の素がアメリカで販売禁止されているの?
味の素株式会社は安全性を実証するための努力を続け、結果的にアメリカを始め世界にその安全性を認められるまでになりました。
うま味成分は様々な食品に自然に含まれているもので、グルタミン酸ナトリウムは健康に問題はない、ということで国連からも安全性が認められています。
普段の食事で摂取する程度なら問題ありません。
また、味の素に含まれる他の成分(シン酸、グアニル酸など)も問題がないことが分かっています。
尚、現在は「化学調味料」ということばが誤解を招くということで、「うま味調味料」ということばを使うようシフトされています。
まとめ
日本では様々な料理に手軽に使われている便利な味の素に、こんな歴史があったとは驚きだったのではないでしょうか。
敬遠しがちだった諸外国でも現在は受け入れられており、安全性も認められています。
ですが、何であれ摂りすぎは禁物です。
このような話があったことも踏まえて、成分表は確認し、味の素だけでなく摂りすぎには気をつけましょう。
また、グルタミン酸ナトリウムが身体に被害を与えるという話は、結果的に根拠のないものでした。
ですが、このように誤解から思い込みへと発展し真実かのように語られて世界に広がるということがあるという怖さを感じます。
ネット上での様々な情報もそのまま信じ込むのではなく、情報を集め、別の角度からも物事を見るのは大事なことですね。
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